Previously, mari's paris life


"La France traverse une phase de vulgarite. Paris, centre et rayonnement de betise universelle" - C. Baudelaire :p
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厳しいプライベートコーチ
私には共に暮らす、プライベートコーチがいる。何のコーチかって?フランス語の発音矯正のコーチである…。


コーチは厳しい。"Le fou(狂った男)"と "Le feu(火)"の言い分けが出来ない、哀れな日本人の私、在仏4年目!のため、毎晩、夜眠る前の貴重な10分を、私のために割いてくれ、私たちはこうして夜な夜な練習に励むのである。


まだねー、"Le fou"の"ou"、ウー、二重母音はいい。昔に比べれば、だいぶ言えるようになった。昔は「どこですか?(C'est où?)」って聞くのが恐怖症だったくらいだもの。問題は、なぜか "Le feu"の "eu"、前にfが来ると言えないのだ!"Heureux(幸せな)"だったら上手く言えるのに! (←コーチお墨付き)


ということで、我々はfの練習もした。ざっと、20回くらい。コーチいわく、「初めてフランス語を習った時、先生がこうして発音してみなかった?エーーフって。」ちゃんとフの音の時、唇に当てて、カサカサとした音を出している。言われてみれば、NHKのフランス語会話の番組で、パトリス(懐かしい)が一生懸命、これでもかってくらい口を空けて、発音する様が浮かんだ…。そうだよね、そのくらいはっきり言わないとね、fの音にならないってもんだわ。私も負けじと発音する。「エーッフ」。「まだ甘い!もっと、こう!」とはコーチ。


fの音が言えるようになってからは、その後に続く、二重母音 "eu"の練習である。この音は、喉の奥から出すような音で、同じウーはウーでも、"ou"とは違うのだ。"ou"は前で、唇をすぼめて出す音。まったくフランス語って…。今更こんなにダメ出しをされるとは、まるでソルボンヌの発音矯正に通っていた、留学時代を思い出す。あの時でもこんな猛特訓受けなかったけど!あれはもう、10年も前のこと。あの時私は若かった。あ、なんかどんどん違う話にずれそうな予感。


私の場合、なぜか前にfが来ると言えない。一通りfを練習した後、 "eu"を続けて言ってみるという、コーチ独特の絶妙な教え方で練習してみたものの、その後"Le fou(狂った男)"を混ぜて言うとなると、もう "Le feu(火)"は言えなくなっているのだ!なんて不思議…。


「もういいじゃーん、勘弁してよー!(出来ることなら見逃して欲しい、もう眠いし)」と訴えてもダメである。コーチは厳しいのだ。「ダメ、別にマリのフランス語、悪くないけど、今よりさらにハイレベルになったら、かっこいいでしょ、みんなこいつフランス人かなって思うでしょ。(思わない!)出来ないなんてことないの、何事も練習なの、練習!こうして毎晩、ものの10分練習するだけで着実に上手くなるでしょ。はい、もう一度。」と、コーチは決して、見逃してはくれないのだ…。


しかし、そのうち"Le fou"と "Le feu"、順に発音されると、どっちがどっちの音だか、まるで耳が麻痺してきて、違いが分からなくなってくる。お恥ずかしい話だけれど…。昔、ソルボンヌで習った。「外国人の場合、とあるフランス語の母音が、それぞれの母国語に存在しない音だと、存在しない故に聞き取ることが出来ない、よって、自分で生み出す(発音する)ことも難しいです」と…。「じゃあさー、自分だってハヒフヘホ発音してみよー!ほらー!」と、なけなしの持ち手、切り札を使ってみても、コーチはいとも簡単に、「ハッヒッフッヘッホ」とフーフー発音してみせるではないか!hのない、フランス人のはずなのに、何故…。 とショックでうなだれる暇もなく、我々の猛特訓は続く。


とにかくどう反論してみても、コーチは、

「そんなことはない、昔、高校の頃、『私数学って苦手〜。分からないもん』とか言う子がいると、『数学が分からないってことはありえない、なんでも勉強することで分かるようになるんだ、苦手っていうのは自分の頭の中で思ってるだけ』といっつも反論してた。そんなことありえないからね」

と、少々お怒り気味に言われたのだが、この数学センスゼロ、もしくはゼロ以下の私にとって、「数学分からないもん!数学キライ」とは、幼少の頃から絶え間なく繰り返してきた、The phraseなのであって、私は圧倒的にそっちの子に激しく同感したいところなのだけど、コーチはそう易々と同調してはくれない。



私の耳と頭とすべてが麻痺してきて、次第にどっちのウーを言われているのか分からなくなってくると、コーチは次第に自分でも不安になってきたのか、思わず携帯を取り出して、

「ちょっと、もしかしたら自分の発音が悪いのかもしれない。ちょっと録音して聞いてみる」

と言うではないか!
あれ程、普段"C'est ma langue, la langue de Moliere(フランス語は僕の言語、モリエール様の言語)"と得意げに言っているあなたに、そんなこと言わせてしまってごめんなさい……
私は反省の念から、まるで滝にでも打たれたいような衝動に駆られた。ううう…



他にも出来るだけ言いたくない言葉、発音したくない言葉は数あれど、目下、"Le fou"と "Le feu"である。ハイレベル目指して、今日も特訓は続く……



ちなみにそんなコーチは、時にそれは便利な「辞書」にも変身する。

私が、前に姪っ子との公園エピソードを書いている際、私は姪っ子が発した「見て(Regarde)」のスペルが、最後にsが付くか付かないか分からなくなり、すぐ傍にいたコーチに「ねぇ、見てって命令形で言う時ってさぁ、語末にsって付くっけ?」と聞いてみると、コーチは少しも考えずにぴしゃりとこう言ったのである。


「sなし。s付かない。第一グループの動詞の命令形だから」、と…..


その理屈が出てきた素早さに、私、感動。一家に一冊、まるで生きたベシェレル(フランス語動詞の活用辞書)がある感じなのである。私はとにかく、「ちゃんとフランス語の出来る、国語力の高いフランス人」と一緒になりたかったので、こうしてコーチが素晴らしく書け、とっさに説明してくれる人で本当に感謝しているのだ。何様?って感じだけど、昨今、フランスの若者が正しいスペルで書けないのは、ちょっとした社会現象、問題となっているので。
そして我がコーチの場合、超絶理系人間なので、数学でほとほと苦労した私から将来生まれるであろう子どもは、少しでも理系の血が入ることによって、母程は苦労しないで済むであろう。早くもそう考えている。


コーチ、ありがとう!厳しいけど頑張るよ、私。キツいこと言われると、『自分は日本語難し過ぎるからって学びたがらないくせに、こうして私がずーっとフランス語で喋って、苦労しているから私たちの関係は成り立っているというのにー!きぃーーっ』て憎らしくなるけど、事実怒るけど、頑張る。


こうして私は模範生徒、ひいてはハイレベルを目指して、夜な夜な練習は続くのである。


フランスで働くの巻 comments(2)
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comment
Mariさん

初めまして!NYLONでMariさんのブログが紹介された時から、
時々こちらを読ませてもらっています。パリでの生活も、
随分と落ち着いてきたようですね!

実は、私も数年前までパリに住んでました。
でも両親が高齢になったのもあり、そろそろ・・と帰国しました。
Mariさんも将来、日仏間の両方の状況を考えながら、
色んな事を選択しなければいけない場面に直面するかと思います。
きっと考えておられると思いますが、将来のご両親のこととか、心配ですよね。
でも、Mariさんならきっと、その一つひとつの決断に納得して、逞しく人生を切り開いて行かれると信じています!何だか、自分と重ね合わせる部分があるので、
つい身近に感じてしまうんです。これからもずっと、応援しています!!
みちこ 2014/10/05 08:16
みちこさん初めまして!NYLONからだなんて!!ヒャーーってなってしまいました!笑

励みになるメッセージ、どうもありがとうございます。
ほんと、落ち着いてきたような、落ち着かないような、、ご存知の通り、これからどういう仕事をするのか全く分かりませんが、これもチャンスだと思い、気長に探していきたいと思います。

みちこさんもパリに住んでらっしゃったんですね!先輩としていろいろお聞きしたいです。
両親のことは私も心配です。。これはまぁ、海外暮らしする者、みんなの悩みですね。

これからもよろしくお願いします☆
mari 2014/10/06 21:55

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