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さて。新レイアウトはお父様にすこぶる不評ですが(笑)、なんか他になかなかいいのがなくって、しばらくはこれで行こうかと思います。確かに暗くて、ロンドンぽいけどねー(父談)。行間は、自然と広く、前よりぐっと読みやすいかなと思いますが。広告とかも隠せるので、普通のサイトっぽいし。いい感じ。その点は気に入ってるんだけど・・なかなかですなー。
今日はちょっと、大好きな(と書くとちょっと恥ずかしい)ファッションについて書いてみたいと思う。ちょうどパリコレも終わったところだしね。連日、あちこちのいわゆるファッションブログを見て、その動向を追っておった。皆観に行ったらしい。懐かしいなー。私もまたショーが観たいよ。一瞬で終わっちゃう儚い夢なのだけど、そのワクワク感っていったらないのだ。目の前を一流のデザイナー、モデル、スタイリスト達が闊歩する。ああ、こうして流行は作られる、そして即座に、世界中に広まっていくのだと実感する。今はネットがあるから、連日ショーの様子はリアルタイムで覗くことが出来るし。あーあー。私のちっぽけな人生で、またいつかあんなエキサイティングな体験、出来る日が来るかしら?
記憶に残る服というものがある。なんでこう思ったかっていうと、実は先日、フランス人友達とクレープを食べに行く待ち合わせの最中、彼が遅刻してきたこともあり、もうすぐ誕生日なこともあり、大好きなブランド(えぇmiumiuさ!)で、何か観たいな〜という気分だった。場所は、日曜日の渋谷。
高校生の頃に買った、X-girl(なつかし!)のトレンチコートは、すっかり駄目になってしまって、挙句、いつの間にか妹ちびたんに没収されてしまって、今ではどこにあるのか分からない有様。なかなかトレンチコートって、ぴったりの形を見つけるのは難しいと思うし、季節柄、新しいのが欲しいなぁと、ぼーっと考えてzappingしていた。
服に関して私は強運なのか、その日、こういうものが欲しいなぁと思い描いていたものと、ぴたりと出会うことが出来る、大体。
この日も例外ではなく、何の気なし、いや、待ち合わせまでの時間を優雅につぶそうかしら、何かaffordableな値段でpetite quelque-choseがあれば・・ その程度の気持ちだったのに、私の夢センサーは、その日、ぴたりと理想のトレンチコートを探し当ててしまったのだ。
目の前には、思い描いていた以上にうっとりする、それはそれは美しいトレンチコートが。
あああ。思わず羽織ってみたい衝動に駆られる。靴なんか試着してる場合ではない。いや、靴も大好きなのだけれど、絶対高価なものに決まっているからって、頑張れば手の届く靴を試して、心に嘘をつこうとしてる。だめ。目の前のサマーサンダルより、心はあっちの方に奪われてしまっているのだ。見事に。
やはり、試着してみることにした。するとやはり、予感した通り、「しっくり」とくるのが分かる。
好きなものは、遠めに見ても分かる。自分は何が似合うのか、熟知している。このコートもそうだった。
羽織ってみると、ショート丈で、膝上。裾にかけて、まるでドレスのように、ふんわると広がるデザイン。さすが・・。
そうなるとサンダルなんてどうでもよくなってきて、コートを脱ぐことが出来ない。これは私のものになる。そう予感した。けれど、どう考えても手の届く値段じゃない。身の丈ってものがある。どんな経済的状況を考慮しても、私には無理だ。けれど惜しい。
その日は、その後(なんと)3回も試着して、断腸の思いでお返しすると、店を後にした。閉店間際の夜9時にも、3回目の試着をした。日本で最後の一点で、今日東京で売れないと、地方で待っているお客さんの元へ行く。そんなことまで聞いていた。
早速女友達にメール。こういう状況になったらどうする?すっごく惚れてしまった服があるけれど、高過ぎて手が出せない。皆、友達は私をよく分かっていて、的確な返事が返ってきた。
翌日、月曜日。あの美しいトレンチコートが、頭から離れない。仕事してしても、何をしていても、頭の中にはあのトレンチコートが・・・。こんな風に、まるで恋に墜ちてしまうような服を、私は生涯で、今のところ、数件程知っている。
一つは、ニューヨーク。もう忘れてしまったけれど、確かグラウンド・ゼロの近く、デザイナーブランドの靴などを、どういう仕組みなのか、低価格で販売している大っきなデパートメントストアみたいなところで。
ふらふらと、やっぱりヨーロッパのデザイナーのものの方が洒落てるなぁ、繊細だなぁと見ていたら、出会ってしまった。キャメルの、甲の部分を覆うように、細かなフリンジの付いた、ヒールのあるミドル丈のブーツだった。マーク・ジェイコブス。
値段は確か、300ドルくらい。正規価格ではその倍するので、いつも眺めるだけだけれど、その場は違った。300ドルなら頑張ったらアルバイトで返済出来る、そんな額なのが分かっていた。何度も履いては脱ぎ、また履いては、角度を変えて鏡でチェック。ヒールのデザインも、高さも、どんなディーテールも完璧だった。それに300ドル。ちょうど、こんな色のまさにこんなデザインのブーツが欲しいと思っていたじゃないか!すっかり惚れてしまってる。自分が欲しいのも分かってる。けれど、優柔不断な私は、その時、結局買わず、店を後にしてしまった・・・。
後で友達に話すと、"It's too cheap..."と驚きの目で見られ、私は『あぁなぜ買わなかったんだろう!値段だけじゃなくて、あんなに捜し求めていたデザインだったのに!』と激しく後悔するも、どうしようもない。
結局その後、数日ニューヨークにいたのだけれど、二度とその店に行くことはなかった。日本に帰っても、オークション等で必死に探すが、出会えるはずない。今でも思い出す、記憶に残る服の一つだ(靴だけれどね)。
二番目は、去年の夏、新宿のBEAMSで。なんとなく入った店内で、目に飛び込んできたのは、繊細なプリーツで、ドレープの広がる、青と白のストライプになったドレス。前と後ろが深くVになって空いている。
よく、こんなに細いプリーツ織りで・・と感動するも、やはり手が届かない値段だ。しかも、とても薄い生地で、いくら(これまた)ニューヨークからのインポートものでも、高過ぎる。試着して、ますますそのデザインに惚れこんでしまったのだけど、勇気が出ない。せめて、半額なら・・と泣く泣く店を後にする。すぐに合流した友達に伝え、皆で見に入ったのだけど、恋に墜ちているのは私だけなので、皆(男女混合)はぽかんとした顔。そうだよね。
その後、しばらくあのドレスのことが頭から離れず、けれど家賃程もある値段では高過ぎるので、悔しいながらも数週間を過ごした。
数週間後のある時、時は夏のプレセール。また同じ店に入ってみる。密かに、あのドレスまだあるかなと期待を寄せながら。せめて、数10%オフになっていないだろうか・・ でもまだあるだろうか。すぐに売れてしまったんじゃあるまいか、でもあの値段、誰が買うのだろう?
はやる気持ちで店内を歩く。すると、目の届かない低い位置に、あのドレスが掛けてあった。すぐに手に取ると、なんと40%オフになっている。サイズも同じ。買うしかない・・・・。
私はまたしても友達と待ち合わせ。すぐに電話し、「あのドレスがあるの!!しかも40%オフなの!」と興奮気味に説明すると、彼もすぐに見に来てくれた。「まりちゃん、これはやっぱりdo itするしかないよ」、「そうだよね・・」と私。胸の高鳴りを十分の感じた後、私はレジにいた。夢にまで見たkiller dressが、こんな値段になっているなんて、やっぱり縁があったのだろうか。信じたい。
(それからこのドレスは、8月の結婚式で来た。友達の結婚式、銀座。フレンチレストランで、あいにく曇りだったけれど、仲のいい大学の友達がまるでギャングのように勢ぞろいして、皆おめかし、楽しかった。それ以来、大事にクローゼットに眠っている。今年の夏はいっぱい着よう。傷めない程度に。)
そして、今回のトレンチコートだ。
友達の一人が、「ショート丈を別の店舗で見たかもしれない」と言ったことから、私は、あぁあの美しいコートがもう一度見たい、もう一度だけ見たいと散々神様にお願いしたので、月曜日の夜、仕事帰りに行ってみることにした。
すると、まったく同じものがあるではないか!何故?!昨日はもう、これが日本で最後の一点だと言われたのに。それも今日のはサイズ36 ---前日のは若干肩が大きい、38だったのだ--- 私のサイズ・・!
びっくりして手に取ると、すぐに店員さんに事情を説明。目の前にこんな幸運が降り立ってくれるなんて・・信じられない気持ちでいっぱいだったが、4度目の試着をする。うん、やはり可愛い。
聞くと、昨日キャンセルが出たそうで、買う予定になっていた方に連絡が付かず、仕方なく戻ってきたとのこと。納得。私は、仕事用に普段かけている眼鏡も、ずっと使っている黒い革の鞄も同じ店のなので、感じのいい店員さんは、すぐに状況を把握してくれた。昨日何度このコートを試着したか、忘れられなかったか。勢い任せにばばばと話す。すると彼女はいたく感動してくれ、私の熱意が伝わったのか、とても良くしてくれた。
やっぱり欲しい・・。またこうして巡り合えた!でも値段が下がっているわけじゃない・・でも・・散々お願いしたから、「いい?そんなに見たいならまた一度だけ見せてあげるわよ。でも、これでものにするかしないか、それはあなた次第」と、まるで神様がくれたチャンスのようにも思え、私は困惑した。
もう一度母に電話する。やっぱり、母も同感だ。母も、「いいものはいい」という価値感の持ち主で、よく知っている。「買いなさいよ!」背中を押してくれる一言だった。私は決めた・・・ そうだよね、昨日あれだけお願いしたんだもん、そして今また、私の目の前にある・・・・。買うか買わないかは私次第。けれど、今日を逃したら、もう二度と出会うことは出来ないであろう。追加生産もないって、さっき聞いたばかりだし。
私は決めた。サインするのに、手が震えた。
「優れたデザインのものしか、家に置いてはいけない」という言葉がある。昔、何かで見聞きした言葉だ。そして、いつか、経済的にももっともっと余裕が出来、自分を許す日が来たら、デザインに、敬意を払うという意味で、お金をかけたいと思っている。密かな夢だ。
そして、こんな風に、熱烈に記憶に残る、心底惚れてしまった洋服にだけ、貴重なお金を費やすような、そんな買い物だけをしたいと思う。きっと、私の好きなもの、好きなスタイルは永遠に変わらないであろうと思われるので、そんなこともあり、私は買うに決めた。
14歳の頃、何かのファッション誌で目にしたmiumiu。それ以来、ずーっと私の心を捉えて離さないでいる。『あ、なんか、このブランドだけは全て好きだな。好みだな』、そう思った記憶がある。それからずっと、ちょこちょこコレクションや最新小物などをチェックしては、やはり好きだなと思いを確かにしている。社会人になって、少しずつ買えるようになってきては、ますますその愛を深めている。あれ?何かフランス語と同じような感じだな・・・・・・・?
初めてパリに行った際に、同じく清水の舞台から飛び降りて買った、秋冬のコートも一つ持っているのだけど、あれから7年近く経ち、古びないデザインで、毎年着ているので、もう十分元を取ったと思う。
トレンチコートは、春だけでなく秋にも着れるものなので、活躍度も二倍だ。重宝するだろう。これからも、ずっとmiumiuが好きだろう。お金持ちになったら、好きなもの、ぜーんぶ買い占めたいな。それぐらい、miumiu my love。これは私のスタイルだ。