Previously, mari's paris life


"La France traverse une phase de vulgarite. Paris, centre et rayonnement de betise universelle" - C. Baudelaire :p
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近況、愛はすぐそこに、エトランジェとして生きる
 


ここ二週間程、パリはとても寒い日々が続いている。帰ってきた頃はそうでもなく、『な〜んだへっちゃらじゃん』とタカをくくっていたのがいけなかった。その数日後から、調子に乗っていた私をあざ笑うかのようにマイナス5℃、6℃、7℃と、気温はますます下がるばかり。。



火曜日には最低気温2℃まで上がるようなので、早くあったかくなって欲しいな。。もう寒いのには飽きたよ。いつもコートを着て、いつもニット帽を被るのには飽きた!早く新しい、薄着のおしゃれがしたい。




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最近、ふつふつと思うのだけれど、最近前にも増して、ぐんと、フランス語が分かるようになり、それだけこの新しい仕事にも、環境にも慣れてきた証拠なのだと思うけど、すごく嬉しい。快適だ。




そしてたぶん、一番の違いは、分からない時は臆せずに、はっきりと「ごめん、分からなかった」と言える勇気を持ったこと。会議中でも、まわりのフランス人(同僚)も堂々と、分からなかった時や複雑な新語や専門用語が出てきた時には、「え、それどういう意味」とか、「ちょっと今のよく分からなかったんだけど」とかって言ってるもんねー。



分からないのは恥ずべきことではないのだ。分からなかったのに分かった振りをして受け流す方が、よっぽど重傷になる。ボスにも散々言われたっけ。(でもでも、そりゃ一発で理解できない私が悪いんですけど、「100回でも聞き返して、俺を困らせてくれ(マリキャプション)」って言ってたくせに、いざ一度聞き返すと、「ノン、そうじゃない」と明らかにイラっとした口調でつっぱねられるのは、フランス人はコミュニケーション能力なんて気にしてないから、しょーがないのよね、そーねそーね、でも「何度でも聞き返してくれ!!」って言ったじゃん!!と、心の中でひっそりと涙を流している私である。でも悪いのは私っす。えぇ。)




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最近、自分でも変わってきたなーと思うのが、服の好み。洋服の好み。色や、デザイン。前は、割と突飛な・・というか、変わった色や、ぶっ飛んだデザインのものが好きだって今までも何度か書いてきたけれども、最近は打って変わって、シンプル一辺倒。


調和の取れた街並みや、グレーな空続きの天気、気候、シンプルなパリジェンヌ達を見て触発されたのか、分からないけれど、最近いたってシンプルだ。


まぁ、あんまり華美な格好をすると、仕事のある場所もちょっと危ない地域なこともあって、危ないし、ブランドもののバッグなんてやっぱり怖くて持てないしで、東京とは圧倒的に違って、意識してカジュアルダウンしてることもあるけれど、あと最近は寒いし、ジーンズやパンツばっかりになるってこともあるけれど(やっぱりスカートを履くのはちょっと怖い。)、紺色のセーターに同じく紺のパンツ、茶色やベージュのセーターに、同じくグレーやブルーのジーンズなど、同系色や馴染む色を合わせたりして。反対色など持ってこなくなってしまった。なんていうか、よく言えば地味だし、悪く言えばつまらない。でも、なぜだか今の気分にしっくり来る。その代わり、腕もとに複数ブレスレットや、ゴールドのチェーン、ネックレスは欠かさないのだ。



私はフランス人と違って、極めて平均的な、つまらない、おうとつのない顔だし、こういう色だけではほんとに地味に、まとまってしまう感じもあるけれども、少なくとも今だけは気候が気にしているのか、圧倒的に紺が多い。出番多数。


そしてふと見ると、すれ違う人々、まわりのフランス人も、景色によく馴染む、いわゆるアースカラーだったり、控えめな色を着てる人の方が多い。



まぁね、もうちょっとあったかくなって、夏になれば、ピンクやオレンジ、ブルーなど、鮮やかな色も自然と着たくなると思うけどさ。今はこれでいい感じ。すごく趣味が変わってきた。なので、ふと、フランスのデザイナー(高級メゾンとかでなく、イザベル・マランとか、majeとか)の服を思い出すと、一昔前までひねりがなくて、私的には物足りないなぁと思っていたのに、今見ると、なんとなく落ち着く感じで、シンプルなニットとか、ひねりがなくても、着心地が良さそうで惹かれてくる。



いつまでこの傾向が続くのか分からないけれど、毎日着るものには快適でいたいので、このままの気分で続けたいと思います。




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まだ戻ってきて二週間だけど、昨日、久しぶりにとある待ち合わせと分かれた後、少し先のバス停まで歩いて帰ろうという気になって、歩いていたら、やっぱりレストランでデザートを食べなかったことが災いしたのか、私はそもそもそんなにデザート派ではないんですけれども(ちょっとでいいのだ、ちょっとで)、やっぱり甘くないタルトなどあったら食べたいなぁという気になり、いつものカフェに寄ることにした。



その前の週の日曜日にも、ここで、ドロテと久しぶりに再会したばかりだったのだけど、今度は一人でふらっと寄ってみる。ここはギャルソンのおじさん達もとても愉快で優しいので、いつも嬉しい気分。一人、50代だろうか、中年のおじさんが、いつもニコニコ、優しい目で見てきてくれるので、私としても有り難いし、いつも嬉しい気持ちでいたのだけれど、三ヶ月留守にしていたし、この界隈は日本人が多いだろうし、絶対に他の誰かと間違えているのだろうと思って、そう尋ねると、「いや、君だよ、僕の宝石」と、慈愛に溢れたあたたかい眼差しで見つめてくれるので、『そっか、そんなに言うなら間違いないのだろう』と思っていた。



「こんなに寒いからね、デザートをあたためるよ。洋梨のタルト、少しあたためてあげよう」と言ってくれる。運ばれてきた皿には、四方にホイップクリームが絞ってあり、こういう些細なところにも、フランス人は神経を配るのを忘れない。



ミントティーと一緒にごきげんな気持ちで食べていると、おじさんは「マリ、日本のどこの出身なの?」と聞くので、「あぁ全然有名じゃないところよ・・すっごく綺麗だけど」といつものフレーズで説明すると、おじさんは「よく日本に行くんだ。大好きなんだ、あの国。ほら、こないだも、1月16日に僕は広島にいた」と言うので、びっくりすると、やって来たマダムのお会計を済まし、私の傍へ戻ってくると、おじさんはギャルソンエプロンのポケットから、iPhoneを取り出して、秘密を見せてくれる。


そこに写っていたのは、二人の子どもだった。どことなく彫りのある顔立ちで、栗毛色の目と髪の毛が愛らしい。


「あぁ、ご家族がいるのね!」咄嗟に理解すると、おじさんは一連の経緯を話してくれた。日本人と結婚していたということ、いつもディズニーランドに行き、どこどこのホテルに泊まるということ、孫達が、だんだんフランス語が話せなくなって悲しいこと・・・



おじさんは慈愛に満ちた目だけれども、孫達と共通の言語で話せなくなるのはやはり悲しいようだった。なんとなく目に陰りが見える。悲しくなる。


好きな人と、コミュニケーションが取れない、言葉が通じないというのはやり切れないだろう。そんなに悲しいことってない。そりゃ、ジェスチャーや書くなどで、いくらでも通信手段はあるだろうけど・・「最近スカイプをしてもね・・」と、やはり悲しそうだ。「二人が日本語で言ってることはなんとなく分かるけれど、やっぱりね」そうだろうなー、子どもは覚えるのも早いけど、忘れるのも早い、使わなければ。そんなフレーズを思い出す。事実、私のいとこや、同僚の人でパリで生まれた息子さんが、すぐにフランス語を話し出したけれど、今では3年もパリに住んだことなどまるで覚えていないらしい、という話を思い出して、私まで胸が切なくなる。


あぁだから、この人はこんなにも優しい瞳で見つめてくれるのだな・・すべてのことに合致が行って、おじさんは「土曜日曜はブロカントをしてるんだ。(ガラクタ市。アンティークやインテリアグッズなど、ありとあらゆるものが売っている)いつでもおいでね、いつでも連絡して。電話番号をあげよう」とお店のカードの裏に、電話番号を書いてくれた。


あぁだから、この人はこんなにも異国で出会った、異国から来た日本人である私に、こんなにも良くしてくれるのだな・・私は嬉しくてたまらなくなる。




愛は、どこにでも溢れていて、感じられる限り、どこででも感じることが出来るのだ。終わりのない、大変な仕事と、不自由なことだらけのフランス生活だけれども、私は人が好きで、人も私のことを好きになる。感謝している。そんなサイクルが好きだ。愛をもらえば、愛を返したいし、惜しみなく与える人でありたい。たぶんこの辺は、私の受けたカトリックの教育から来ている部分だと思う。たぶん。




そんな感じで、決してエトランジェ(異邦人)としてパリで一人生きていくのは、易しいことばかりではないし、いやな目にも、理不尽な目にも、様々なことに遭う。けれども、愛はそこに存在しているのだ。目の中に、ふと触れる手の中、ふと投げかけられる言葉の中に・・・




私はこのおじさんのことも、まだそんなによく知らないくせに、かわいい孫達と話せないことがどんなに悲しいことかと、勝手に同調して、考えるだけで涙が出てくる。自分でもどうかしていると思うけど、同調することはやめられない。無意識で、これが私なのだ。









また書きます。

mari



















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