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ジュテームなんて言えない
2012.10.22 Monday
そう言えばエッフェル塔を見に行っていなかった。初めて一緒に見に行った。韓国料理を食べた帰りに、ふと先を見ると彼女は悠々と立っており、そのまま近くまで歩いて行くことにしたのだ。
手をつないだまま、歩いてぐんぐん・・ 雨が降っていたおかげで、寒くない。夜の散歩にはちょうどいい気温。何か大きな建物に遮られて、遠回りを強いられた後は、広場に出た。もう、エッフェル塔はすぐそこ・・ 目と鼻の先。あとは勘だけで歩いて行ける。
雨で少しぬかるんだ道を、避けるようにして歩き、ようやく近付くと、下からまずは眺める。闇夜に映えて、ますます明るい。
円形状のアーチと、無数の格子・・ どれも計算し尽くされているようで、自然というか、優雅だ。すっと立った、バレリーナのようにも見えるし、傘のようにも見える。なのに、近付くとこんなに重工で、その腰はどっしりと地に根付いている。
建設・建築関係のエンジニアなんだから、「ねぇ、エンジニアとしての意見を言ってみてよ」と聞いてみると、「この無数に走った鉄の格子が、本来なら○○と言って(忘れた)、外から吹く強い風の力を分散させるためのものなんだけど、これを必要以上走らせることによって、全体的に丸みを帯びたデザインに見せることが可能になっているんだ。とにかくこれは、魔法のデザインだよ」。だって。一部忘れたけど、大体こんな感じのことを、上を眺めたまま、言っていた。辺りは明るい。黄色いライトでいっぱいだ。そんなに光は強くないはずなのに、酔って、眩しい。
彼は建物を、私は小さな小さなビジューを。ファニーが言った。「全く正反対の二人よね。共通点はない」。そう思っていたら別の日にまたある人が、「けれど、宝石の家を作ることは出来るでしょ」。まるで、宝石版ヘンデルとグレーテルみたい。そんなのっていい。
バリバリの理系と、数学のセンスは一切ない私。ファッションにはてんで興味がなくって、いつもいつ買ったの?!というような服ばかり着ているし、私は私で、私のスタイルを崩さない。(次はコートを選んであげることになっているけれど・・ Relookするのにはまだまだ時間がかかりそう。髪なんて消防士みたいだし!XD)。お互い本を読む、映画が好き、エクスポが好き、いつも遠くのことを思っていて、気を抜くとすぐにどこか空想の世界へトリップしている。そんなことくらいしか共通点がない二人なのに、会うといつも、小さなことから様々なことまで、その週に起きたこと、仕事のこと、次に観たい映画のこと・・ずっと喋っている。私は食べるのが遅くて、彼は朝食でもあっという間に食べてしまう。私の方が英語は得意だけれど、私はスペイン語もポルトガル語も話せない。「僕らはお互いを補うでしょ」。嬉しかった。秀でた箇所と足りない箇所と。でこぼこで、てんで共通点のない二人だけれど、補うことが出来たら。
夜の散歩があまりにも美しくて、ぽむくんがいつも妹にするみたいに、「ねぇ、何か愛の言葉を言ってよ」、エッフェル塔を見上げたまま、ぬかるんだ道の上で、手をつないだままリクエストしてみると、彼は何も言うことなく、一瞬だけ赤くなったように見えて、そのままぱっと、小さくキスをした。何も言ってくれなかった。ぽむくんも、業界は違うけど同じエンジニアで、理系なのにな。私は私の、不器用で、シャイな、この人が好き。ねぇ、特別なものを感じてるのは、私だけ?